
今話題の「静かな退職(Quiet Quitting)」という言葉に大いなる危機感を覚えます。
実際に退職をするのではなく、昇進を求めず、指示されたこと以外はやらないという主体性のない働き方で、2022年に米国のキャリアコーチがSNSで広めて、若い労働者に支持されているそうです。仕事における過度なストレスを避ける為であり、持続可能で健全な職業生活を送るために必要な考え方であると。
三宅香帆氏の著書「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」は、2024年の一番売れた新書ということで私も読んでみました。長時間労働は、本を読むなどの「文化」を搾取していると述べ、働きながら本を読める社会を目指し、懸命に働くのを止め「半身」で働くことを勧めています。本当に本を読めないほど長時間労働をする人がどれほどいるか不明で、私は逆に、「なぜ懸命に働いていると本が読みたくなるのか」という本を読みたいと思いました。
幸せな人生の3要素
誰しも「幸せな人生」を送りたいはずですが、「幸せな人生」とは「楽な人生」でしょうか?「楽」と「幸せ」は、行って帰ってくるほど違います。深い幸せとは、充実感や感動、喜び、やりがいを伴うもので、必ず「努力」というプロセスを経て得られるものです。
私は人生の幸せをもたらす要素は、主として3つあると考えています。自らの知識や技術などの能力を高められること。その能力を使い世の中の役に立つこと。そして人間として成長することです。これらはすべて職業を通じて得られると考え、当社はそれを得られる会社でありたいと思っています。もちろんこれらは職業以外でも得られる要素ではありますが、社会人は多くの時間を生活の糧を得る職業に使うわけですから、職業によって自己実現を図らない手はありません。
ポテンシャル
牛丼チェーン吉野家の「中興の祖」で、「ミスター牛丼」と呼ばれている安部修仁さんに直接お聞きしたのですが、氏は若いとき全身全霊をかけてトップスピードで働いたそうです。「全力を出さないと自分のポテンシャルは絶対に自覚できない」という持論をお持ちです。
誰しも最初から重い荷物を担げませんが、重い荷物を担がない限り、永遠にそれは担げずに終わるのです。「我々は、難度の高い仕事に取り組むことにより、人間として成長する。」という当社の経営理念の由来です。
長時間労働を推奨するつもりはありませんが、働いて、働いて、働いて、という新総理にエールを送ります。そして健康経営を推進する目的は、懸命に働き成長する社員を、会社としてしっかりとサポートすることだと考えています。